夢は現実、現実は夢8-6

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 また気配が増大した。迫ってくる。強い。
 でも、今は怖くなかった、何故ならここがどこかを知っていたから。
 そして体を何かがすり抜けた。
 
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肉体から精神だけが抜け、気が付くと白い部屋にいた。変わった部屋だった。
 部屋には机しかない。
 その机も壁も全てが滑らかな曲線で構築され、壁も机も白いプラスチックに透明なプラスチックを被せたような物だった。
 そして部屋の壁の一つは大きなガラス窓があり、その向こうにも部屋があるようだった。
 でも何より変だったのは、部屋の中央の机に私がいたことだった。
眼からは精気が抜け頬は削げ落ち、さながら死体のようだった。
 「困ったな、何なんだ、一体」
 どこからか声が聞こえると同時に、突然自分の視点が動き出す。視点はガラス窓に突っ込み、向こう側の部屋に移動した。
 ジェットコースターみたいでなかなか愉快だ。
 視点は更に動き続け、ガラス窓を中心に回転にしはじめる。
 部屋の中には二人の男がいた。背中しか見えない。
 スーツの男と白衣の男だった。
 その男と男の中間地点で視点は停止する。
 男と男の間からはガラス窓越しに私が見えた。
 「くそっ、なんでコレだけ証拠があがってるのに……」スーツの男のほうが言う。
二人とも私には気づかない。きっと私は今、精神だけの状態なのだろう。
 「もしかしたら彼じゃないのかもしれません。彼が犯人でないことより、この状況の方が不思議です」白衣のほうの男が言っている。
 「分かってる。だけど……あいつだ」スーツの男が言う。
なんの話だろう?部屋の周りを見たかったが、視点が固定されていた。
 「そうですね、確かに、彼です。でも、現行法では今の状況じゃ逮捕も立件もできない。ここに入るのだって、入院あつかいです」白衣の男が言う。
 そのとき何処からか扉をノックする音が聞こえた。
 視点がそちらに向かってパンする。
 切れ目のない扉に切れ目が現れ、その部分がスライドする。
 女性が一人、現れた。
 「 BEV-02、稼動準備完了しました」
 視点がまた動く。この部屋にいる三人が全員、視界に入ってくる。
 「ああ、そうか、分かったすぐに行く」白衣の男が振り向き答える。
 初めて目にした白衣の男の顔は誰かに似ていた。
 思い出せなかったし、あまり、気にならなかった。
 「どうだ?いける…のか?これが最後の蜘蛛の糸だぜ」スーツの男が振り向く。
 「うん、多分ね。でも―これ、使われるの初めてだし、どうでしょう?まあ局の許可もなんとか取ったんですし、やらなきゃ、だめでしょう。成功するにしても、失敗するにしても」白衣の男は口元を僅かにあげて言う。
 驚いた。
 スーツの男は幻の中に出てきた
 私を逮捕すると言った
 あの大柄な男だった。
 その男は白衣の男に向かって言った。
 「そうですね……頼みましたよ、左門助教授」
 白衣の男は一回微笑んで、扉から出ていった。


 私は、誰だろう。
 何をしたんだろう。
 本当に私は私なのか?
 部屋の中にいたのは誰?
 そんな当たり前の、答えが分かりきった疑問が、頭をよぎって、意識が急に浮上した。

     *       *
         
 白い部屋
 「記憶サルベージ完了。再現します。50、69、80、99、99、99、100」機械を操作しながら女が告げる。
 「完了。注入します。許可を」
 女が言う。
 「やって」
 モニターを眺めていた男が言った。




最近、私事なかなかこうしんできませんでした。これからはより一層、精進します。

テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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